このブログはタイトル通り、行政書士事務所を組織的に運用していくことの理論と実践なのですが、論なので当然総論と各論があります。今日は各論の話です。
笑いが止まらない人はどちらかというと総論のほうが得意で、僕はどちらかというと各論が得意です。
先日の長江のエントリにもあった川口先生のメルマガに、実は僕も共同執筆という形で携わらせて頂いており、その原稿の一部をこのブログに加筆修正の上で再掲しようと思います。組織論の根底を支える、標準化と効率化のお話です。
--以下転載
ともかく事務所のなかのもののうち、できるものは全部電子化してしまおうと思っています。電子化できないものもたくさんあるので(人間関係とか)、できるものから取り急ぎ、やっていこうと思います。
人が資本の割に人の少ない士業事務所では、物理的な制約が色々あって、それが業務の妨げになるし、圧倒的な一極集中にもならず「みんなそこそこ」でやっていける障壁にもなっていると思っています、多分。
インベーダーゲームみたいに、敵の攻撃が当たらないけど、こちらからの弾も邪魔しちゃうアレみたいなものですね。だからあちらからの攻撃を防いでくれる障壁は残して、こちらで動きやすくなる部分に関しては電子化して取っ払ってしまおうと。
抽象的で分かりにくい文章になってしまっていますが、すごく個別的に、何を電子化しようかというと、まずは事務所の過去書類です。
これまで依頼を受けてきた案件は、(少なくともうちでは)控えを取って保存しています。時間が経ってお客さんに質問されても見られるように、また、許認可等の場合には、この先の手続きでも流用したい資料になる可能性が高いので、そのストックです。
あと同じような案件が来た場合に、これらは手引きより生きた資料になるので、過去書類というのは何かと重宝して良いんですね。行政書士法にも2年間だけだけど保存義務ありますよね。
ですが携わった案件数が増えると、これらの過去書類は相当の場所を取るし、コピーしてファイリングしてタグを付けて順番に並べて...の手間もかなりの時間を使うようになってしまいます。津波が来たら流されます(エディタ注:俺仙台の人間なんで、この原稿を書いた頃は地震→津波の悪夢がリアルだったんですね)。ストックだから非生産的で、こればっかりやっていたら売り上げはちっとも上がりません。個人又は小規模事務所には死活問題なのです。
紙と電子データの長短を比較して、現時点で既に電子データのほうがメリットがあるよな、と。ということで手始めに、過去書類の全電子化を決行することにしました。
--電子化のメリット
・場所を取らない
・検索が早い
・いつでもどこでも見られる
・バックアップできる
・共有できる
--電子化のデメリット
・見られない人がいる
・「あの辺」という感覚的な検索が出来ない
・役所でそのまま使えない
・直感的な嫌悪感、苦手意識
こんな感じでしょうか。他にもそれぞれありそうですが、僕らの業界で議論になりそうなことはこの辺りだと思います。
電子化の方法
事務所の過去書類電子化のお供は、スキャナです。
例えば株式会社設立の依頼を受けた場合、定款や議事録、印鑑証明書などを登記簿謄本と一緒に依頼者に返却納品することになるのですが、これまでの業界ではこれらはコピーしてファイリングされていたはずなんですね。もっと昔は複写の用紙を使って保管していたはずなんです(代書屋、と呼ばれていた時代ですかね、よく知らんですけど)。
会社設立では小規模の会社であればせいぜい20ページくらいでしょうが、大型の許認可案件だと数百ページになることもざらです。また許認可は定期的に更新や変更届が必要な場合があるので、その場合は年々膨らんでいきます。
この事務所控えを、スキャナを使って電子化してしまおうということです。うちの事務所では一部既に始めています。スキャナはコピー、ファックスと複合機になっているものもありますが、この際だからいいヤツを買ってしまいましょう。専用機のほうが捗ります。専門家に頼んだ方が早くて確実です、は行政書士の常套句です。
スキャナは今話題の自炊(参照リンク http://goo.gl/DBPHm)で局地的なブームになっている下記の2つが出事実上のスタンダードみたいです。僕も富士通のほうを持っています。
(エディタ注:現在はこの辺の小型機でなく、大きい複合機を事務所に置いているので、ScanSnap使ってません。欲しい人いらっしゃれば差し上げます)
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これらのスキャナを使って過去書類をガンガンスキャンしていって、データをパソコンのハードディスクに溜めていけば、それはご自身(組織や集団であればその組織等)が携わった案件のアーカイブになっていきます。
うちの事務所の某支部では既に全案件をコピー禁止スキャン一択にしており、今のところ不都合はありません。ひたすら便利です。