. 行政書士組織論: 組織の前提となる売上について(番外編 / 塩谷編)

2014/03/22

組織の前提となる売上について(番外編 / 塩谷編)

大きなテーマについて何度かに分けて書き溜めています。これまでの記事は以下です。

行政書士組織論: 組織の前提となる売上について(1)
行政書士組織論: 組織の前提となる売上について(1)-2
行政書士組織論: 組織の前提となる売上について(2)
実は行政書士業務で一定の売上を上げることは、それほど難しいことではないと思っています。仮に1人事務所で1,000万円以上としましょうか。
行政書士の商材は許認可を中心とした商事法務と相場が決まっているので、買い手が固定されている上に、この業界の営業ノウハウのようなものも良く出回るようになっているので、それらを勘案して、適正なサービスを適正な価格で適正な対象に向けて営業活動すれば、上記の金額は夢のような数字ではありません。
このブログのテーマが行政書士の組織論とその周辺なので、上に引用したようなことを掘り下げるのは本筋でないですし、いわゆる「1人事務所で年収1,000万円」の世界観は既に語り尽くされている感もありますが、本論を進める前に一度だけまとめておきたいと思います。


でも、僕以外にこのテーマが得意な人いっぱいいるでしょうし、有名な人もいるので、そちらを見てもらった方が早い気もしますね。

行政書士集客ノウハウblog
行政書士開業情報!行政書士で年収1000万円稼ぐ法
資格で独立するなら 経営天才塾
士業の集客できるホームページ制作、ウェブマーケティングならお任せ!

(ちなみに、上記にはお金のかかるコンテンツなどあるようですが、当サイトはこれをお勧める意図はありません。参考リンク貼っただけです)

では、1人事務所で年収1,000万円のための方法論まとめ行ってみましょう。スタート地点はゼロベースからです。

覚悟を決めて気合いを入れる


まず最初にするのことは、覚悟を決めることですね。駄目で元々くらいの気持ちでやるしかないと思われます。多分1×1,000コースの人はみんなここからスタートしていると思います。

いきなり根性論かよというなかれ。根性論ですよ。行政書士が食えねえ等と言われますが、1×1,000くらいは気合いと根性だけで何とでもなりますよ。

髪を切りスーツを揃え髭を剃り愛想を覚える


要は、社会人として当たり前のことを当たり前に揃えるということですね。商事法務をやろうとしているので、個性なんて必要ありません。小奇麗にして社会人らしくするということだと思います。

(個性って、個性的なことをしようということでなくて、本人が普通のつもりでやってても滲んできてしまう部分のことをいうと思うので)

ビジネスマナーというほどではないですが、敬語や謙譲語、名刺の渡し方や電話の受け方くらいはマスターしておいたほうがいいかと思います。

100万円くらいの軍資金を用意する


開業する地域や家族構成などによって金額は変わるかと思いますが、当面の生活費や活動資金を用立てなければなりません。貯金があるのが一番良いでしょうが、そうもいかない場合だってあるでしょうから、ご両親に土下座するなり日本政策金融公庫から低利で借りてくるなりして作るしかないですね。

ちなみに僕は150万円くらいで、貯金&土下座&国金のフルコースです。後で帳尻あえば何だっていいと思います(いいのかしら)。

› 新規開業資金|日本政策金融公庫

武器を1つ作る


1つでいいので、負けない武器を作る必要があります。で、開業時に勘違いしてしまうのが「あらゆる場面で負けない」を目標にして武器を探し、「そんなもの自分にないし、作れない」と諦めてしまうことですね。

あらゆる場面で負けない武器なんて何年かかっても作れるわけありませんので、それを目指すのは時間の無駄です。

大事なのは、セグメントをきっちり分けて「こういうシチュエーションにおいては大体負けない」という武器を作ることだと思いますね。下記のようなものをご参考に。

セグメンテーションの方法とその事例

まあよく言う言葉で、「選択と集中」というやつです。

アイテムを揃える


武器ができたんで、これを人に伝えて自分のところに依頼というかたちで帰ってくるようにしなければなりません。

名刺


名刺はとにかく人に配りまくるものなので、気を使っていいと思います。軍資金の具合と相談しつつ、見やすくて必要な情報が載っていて忘れがたい(だが凡庸である)ものを作ると宜しいのではないかと。あくまでビジネス用途なのでパンキッシュだったり破壊的だったりする必要はないとも思います。

自作で自宅プリンタのちょっとしょっぱい名刺は是非ご再考下さい。味が完璧で内装がボロボロのラーメン屋と、満足できるくらいの味でこざっぱりした蕎麦屋なら、ラーメンオタク以外は後者を選ぶと思います。ラーメンオタクだけを相手にしても1×1,000は可能だと思いますが、届くまでに時間がかかり過ぎます。

電話とファックス


後で書きますが、滅茶苦茶動き回るワークスタイルになるので、できれば電話とファックスは分けたほうがいいと思います。
固定の電話番号2つ取っても5,000円/月くらいだと思うので、その程度で外出先でも漏れ無く連絡をキャッチできるなら安いのではないかと。

NTT|ひかり電話(光電話)[複数チャネル]
NTT|ボイスワープ[転送電話]
FAXお知らせメール|ひかり電話(光IP電話)|フレッツ光公式|NTT東日本

プリンタなど


立派なものは必要ありませんが、細かいことを書くとインクジェットじゃなくてレーザーにしたほうがいいですね。出来上がる書類の見栄えが全然違います。実はメーカーの選択肢はかなり限られますので。

› モノクロレーザー 複合機 - Google 検索

電話とファックスもセットになっているものでいいんじゃないでしょうか。どうせ電話もファックスも携帯に転送になってるので、本体自体は通信用にはほとんど使いません。

行政書士業務でカラー印刷が必須なものなんて滅多にありませんが、どうしても必要なときにはコンビニにデータを飛ばして、その時だけ使ったほうが経済的です。

ネットプリント

PC


パソコンは出来ればノートがいいのではないでしょうか。デスクトップと複数用意できるならなおいいですが、軍資金も潤沢にある訳ではないので、絞るならノートを1台用意するのがいいと思います。

1人事務所だと、出先での空き時間などをフルに使わないと仕事が永遠に終わらない状況になるので、持ち運びできるノートを常にスタンバイOKの状態にしておくと宜しいかと。

スマートフォーーン


あったほうがいいと思われます。1人事務所をするメリットはコストを最小限にして業務量をマックスにするところにあるので、あらゆる連絡が手元にリアルタイムで入るようにしたいところです。持ち運びノートPCのWifiルータにもなるし。

› テザリング | サービス・機能 | NTTドコモ
› テザリング | つながりやすさ | iPhone | モバイル | ソフトバンク
› テザリングオプション│スマートフォン│au

ホームページ


インターネットで業務を受注できるか否かということがよく議論になりますが、出来ますし、あった方がいいと思いますよ。ひっきり無しに電話が来て、土日祝日も何もなくなりますが、まあ1×1,000に行くまでのハードルだと思って頂いて。

自作するのか外注するのか、外注ならどこなのかなど、一家言ある人が多いので僕からは控えます。僕は100%自作して全部構造を理解できるようになってから外注するようにしました。

ひたすら売り込む


さて周辺もやっと揃ってきたので、最初に作った武器を売り込みます。売り込むときに、何か武器がないと売りようがないんです。
売り込む方法ですが、何でもいいと思います。ネット、DM、異業種交流会、飛び込み、紹介、何でもいいんです。

ネットから依頼を集めることが(一見)流行しているように見えるのは、それが目につく方法だからであって、ネットからだけ集めないといけない決まりなんてありません。力の限り、金の続く限り、あらゆる方法で売り込んだらいいんです。

依頼になる経路が紹介だけだとしても、年に1件くらい紹介してくれる人が52人いれば、紹介だけで週1件は依頼があることになります。平均単価が20万円だったら、これだけで1,000万円(売上ベース)達成ですし。

売り込み先は、想定顧客層はもちろん、税理士や司法書士、社労士など隣接士業、不動産屋さん、コンサルタント、金融機関、色々あると思います。きっちりTPOを弁えた社会人らしい態度で、自分の武器をアピールしておけば、そのうちお声がかかることになると思います。

ただ、スタート時はこれらの売り込みから実際の入金になるまで、少し時間がかかりますから、最初に用意する軍資金は少し余裕を持っておくといいと思います。大体3〜6ヶ月はショートしないくらいでしょう。

広告をうつ


ネットにしろ紙媒体にしろDMにしろ、何らかの手段で広告をしないといけません。人と直接会うのは常に1カ所にしか営業活動できない状態なので(だからこそ効くんですが)、対面営業中も別口で営業してもらえるように、何らかの広告をします。

普通は広告なんて初めてでしょうが、最初にやるときは全員初めてなので、気後れせずやるしかないですね。失敗しても何万円か損しますが死なないし、ちょっと怒られることもあるかも知れませんけど、せいぜいその程度です。

やり方は本を見れば何でも書いてあります。10冊も読めば大体勘所は分かってくるでしょう。本は何冊買っても絶対に損しない珍しい投資です。


できれば外注先も用意する


自分の武器エリアの案件ばかり来ればいいですが、必ずしもそういう訳にもいかないので、外注先は確保しておいたほうがいいです。同業者だけでなく、隣接士業などひと通り声をかけられる人がいるとなおグッドですね。

自分の所属する行政書士会で新人研修とか、実務勉強会とかあると思うので、素敵な先輩がいたら声をかければいいんじゃないでしょうか。声をかけやすい人でもいいですよね。

素敵な人は大体顔も広いので、その人経由で交友関係を広げればいいと思います。東北の人だったら僕でもいいですし、関東圏の人なら長江ちゃんでもいいです。我々が素敵かどうかは知りませんが顔は広いっす。

ひたすら繰り返す(改善しながら)


ここまでやると、恐らく1件や2件くらいは何らかの相談を受け、業務として依頼を受けている状態になるのではないかと思います。保証はしません。

ですが、殆どの場合思ったより上手くいかないと思います。初めてだからです。上手くいかなくて当たり前なので、どうして思ったようにいかないか考えて、これまでの道程を改善していくことになると思います。

ホームページの写真が悪いのか、文章の書き方が伝わりにくいのか、会ったときの印象が生意気そうで嫌われたのか、DMを投函した曜日が悪いのか、名刺の字がちいさすぎたのか、理由は色々あるんじゃないかと。

仮定を立てて改善していくと、ブレはあるものの忙しくなっていきます。

武器を増やす、或いは深める


ここまでワントピックで来たことになっているので、1つめの武器が少し慣れてきた頃にもう1つくらいトピックを追加することになると思います。それは1つめの武器の隣にある別のものなのか、或いは1つめの武器の射程距離を伸ばすことなのか分かりませんが、いずれにせよ全く関係ないものを選ぶことにはならないでしょう。

仕入れや在庫がない仕事なので、複数のトピックが回り始めると更にやりやすくなりますね。しかも1つめで結構な失敗や回り道をしているはずなので、2つめが軌道に乗るのは比較的スムーズなのではないでしょうか。

1×1,000に届く


この辺で勘の良い人は、すでに1×1,000に行っている可能性があります。都市部であれば、トピック2つで行ってしまうんではないでしょうか。まあ2つじゃ無理でも、3つか4つを同じ方法論で回していけば、遠からず届いてしまうと思います。

売上ベースで1,000くらいになれば、同じことを繰り返していけば年収ベースでも1,000になるのは時間の問題です。

死ぬほど忙しくなる


売上ベースで1,000を超えてくると、忙しすぎて殆ど仕事しか出来ない状態になってきます。時間効率の問題が出てきます。このとき、自分がいちいち確認するより機械に任せた方が安上がりなんじゃないか、PCのスペックが高い方がいいんじゃないか、など費用対効果を考えることになるでしょう。

費用対効果を考えた結果、誰かとパートナーシップを組んだり、またはパートさんを雇用したり、自分以外の誰かと関わって仕事をする選択肢が出てきますが、これについては以前、長江ちゃんが示唆に富むエントリをドロップしています。

› 行政書士組織論: 独立した行政書士同士でチームは作れるか?

さすが芸歴(業歴)が長いだけあって、含蓄のあるコンテンツです。

結論:誰かのパクリっぽんですけど


ここまでお読みいただいた方が果たして何人いるのか分かりませんが、どこかで誰かが言ったり書いたりしていることのパクリのように読まれたかも知れません。

ですが、本当に恐らくこれしかないんですよ。しかも、これをやれば恐らく誰でも1×1,000くらい届いてしまう商売なんですね、行政書士というものは。

もちろん、ザザっと文章だけ読めば楽勝のように見えますが、実際には惨めで情けないこともたくさんしなければならないし、泣くこともあるでしょうから、楽なものじゃないですけど、僕は楽勝だなんて一度も書いてません。気合いと根性なんです。

気合いと根性でまず1×1,000まで行こう、ということで。