› 行政書士組織論: 組織の前提となる売上について(1)
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› 行政書士組織論: 組織の前提となる売上について(番外編 / 長江編)
売上の質
売上が上がっていれば何でもいいかというと、そういうことではないです。どういう業務を行ってどのくらいの売上があがり、次のアポイントがどのくらい取れて、どのくらい利益が残るか、ということが重要だと思います(というか当然重要ですよね)。
それぞれの地場で老舗の大きい行政書士事務所があると思いますが、全国的に同じような主要業務を持っていると思います。自動車関係と建設関係だと思います。売上の質には、選定する主要業務が大きく関係します。
これは、別に自動車と建設をやらなければならないということではなく、これらの業務の特徴である「定型的に大量処理できる」という利点が発揮された結果と言えると思います。
定型的に大量処理できる案件は、処理できる時間が見積もりやすいために、どういう人材を何人くらい配置してどのくらい経費をかければどの程度の売上で、どのくらい利益が残る、ということを想定しやすいので、事務所運営の底(基礎)にしやすいです。また、当然継続性のあるお付き合いになるクライアントが多いため、先の計算が(行政書士の世界では)しやすく、組織化というテーマには避けられないですね。
定型化したものは、誰にでも処理できるように「作業」までバラバラにすればいいのですから、人材の流動性も上がり人件費は下がります。士業にとっての経費は殆ど人件費(と家賃)なので、必然的に利益が上がります。
専門性とのバランス
行政書士の主戦場である許認可には、業務により難易度の濃淡があります。難易度の高い案件は当然専門性も高く、報酬額も高額となるケースも多いでしょう。
報酬額が高ければ、「売上」自体は上がりますが、組織を支える売上の質という観点で言うと、必ずしも歓迎すべきことではないかもしれません。
- 専門性が高すぎて定型化出来ない
- 希少性があり大量に捌けない(そもそも大量にない)
- 属人性がとても高くなる
以上のような理由で、超少数精鋭にはなるものの、組織と呼ぶような規模の事務所には足らないかもしれません。分かりません。
そもそも、そういった専門性の高い業務で組織化を目指した人がまだいないかも知れませんね。なのでそれを具現化した前例がないと思うので、できるのかできないのか、僕には分かりません。以下のような業務を基礎にして組織化できたら、多分最強になれます(何度も言いますが、できるかできないか分かりません。向いていないとは思います)
- 金商法関係
- 産廃処理業(施設系)
- 特殊法人(医療法人、学校法人、公益法人)
なお、難しくて属人性の高い案件を悪しき様に書いてしまったような印象がありますが、そのような意図は全くありません。僕自身、難易度高めで報酬高めという案件は、個人的にはすごく好きですよ。ただ、テーマにある組織化には向かないのかな、という気はします。