「なんでお前ばっかり書くの?俺は長江大先生の記事が読みたいんだよ!」というお叱りがありましたら、俺はそんなこと知らないんで、直接連絡してください。忙しいんじゃないんですかね、あて先はこちら。
大都市圏で勝負するより、地方都市でポジションを作るほうが士業には向いているんじゃないか、ということを書きたいと思います。以下の記事を拝見して、すげえ良いこと書かれるなあと思いまして。あまりこういう意見をお持ちの方っていないですよね。行政書士には特にね。
› 【第1回】3年で3拠点展開のマーケティング論『事務所の立地を考えよう!』 | スケダチ
弊社は東京、仙台、福岡に事業所がありまして、まだいくつか営業所を出していく予定でおります。エリアについては様々な角度から検討していくのですが、僕が好きな指標に下記のものがあり、しょっちゅうこれを眺めて弊社の来し方行く末について思いを巡らせております。
› 県民経済計算 - 内閣府
面白いんですよね、データの羅列なんですが、この数字からインフォメーションが浮き上がってくるのがドラマチックです。「この地方ってこの業界で食ってるんだな」とか、「この都市が〇〇経済圏では重いんだな、知らなかった」など発見があるので、ご興味があれば是非。
さて、各エリアごとの特色などありつつ、個人的に興味がある土地もたくさんあるんですが、事業所として置いておくにはやはり「売上が立つのか」という大前提があります。弊社は基本的に商事法務一辺倒なところがあり、一言で言えば許認可屋さんですが、一定以上の経済基盤がないエリアだと、許認可屋の行政書士事務所を単体で成立させるのは難しいのです。
つまり、それなりの規模感の会社さんが一定以上あるエリアでないと、コンスタントに売上を上げ続けていくことが厳しい、ということです。更に突っ込んだ言い方をすると、結構な都会じゃないと苦戦することになるのです。
さて、日本の大都市圏といえば東名阪といわれ、首都圏と近畿・東海になるわけですが、事業所を出すエリアの都市経済が大きければそれでいいかというと、士業にとってはそういう訳でもないと思っています。大都市には顧客層が分厚く存在する反面、競合する同業者の数も当然多くなり、自社の努力だけではどうにもならない事があり過ぎるからです。東京でトップを取るって、後発組ではかなり厳しいですよ。考えたくもない。
その点、地方(中規模〜小規模経済圏という意味です)は想定顧客層の絶対数は減るものの、同時に競合も少なくなり、戦いやすくなります。各地方にはぼんやりとした経済圏のようなものがあり、その経済圏の中心的な都市がありますが、地方の中心的な都市で一定の成果が出せるようになると、事務所経営は安定します。
また、定数化できないことですけど、地方都市の人種というのは「一回頼んだら次も」的なメンタリティの人が多いんですよね。なので、一回何らかの取引が発生するとそのままお付合いが継続する場合が多いです。事業体そのものに占める人のウェイトが高いと言うんでしょうか。
(東京は恐ろしいですよね...一回ミスったら即切りって感じですからね...)
僕は仙台の人間なので仙台の例を挙げると、100万人都市ですが、市街地を一日歩きまわって知り合いに会わないということはあり得ません。人の集まるイベント等に行った日には、イベントの間中知り合いに挨拶しているような感じです。つまり人の距離がとても近いです。こういう街で「行政書士だと〇〇ってのがいて」と言ってもらえるようになると、ジワーっと効きますよ。
事務所出す都市は、大き過ぎず小さ過ぎずが要諦であろうよ、ということで。
地方の塊で財布を作っていくという考え方
このブログの要旨は行政書士事務所の組織的な運営に関する理論と実践なので、地方都市でも組織は成立しますが、これをもっと広い範囲で展開していくことを考えてみたいと思います。
全国の様々な地方都市で一定規模以上の事務所を運営できると、全国横断的な案件を受けられるなど目に見えやすいメリットの他、会社全体の経営をエリアでバッファするということが可能になります。経済って流転するものなので、例えば〇〇地方の事務所が調子がいい時でも、3年後も10年後も調子がいいとは限らないのです。ですので、1ヶ所だけで事務所経営をしていると、その地方の経済が落ち込んだ場合、立ち直るまでそこで耐えるしかないんです。
通常は士業事務所は1ヶ所だけ事業所がある場合が多いと思いますが、エリアでバッファできると、「〇〇地方の事務所は今〇〇で好景気だが、△△地方はこういう理由でしばらく低空飛行だ。〇〇から△△をしばらく支援しよう」ということになります。もちろん各営業所が単体黒字になっているのが理想ですけどね、いい時と悪い時があるのが商売なので。
士業は業務でバッファするのが安定経営に繋がると言われ、それももちろん正しいと思いますが、弊社はエリアでバッファという作業を試みており、これはやってみると業務バッファより安定しやすいように思います。
次の展開も恐らくは地方経済圏の中心的な都市(大き過ぎず小さ過ぎず)ではないかなと。