. 行政書士組織論: 構造と力

2016/02/07

構造と力

事業体としてどうしても避けられないことで、必ず事業年度が終わり決算を行うタイミングが来ます。僕の管理になっている2つの事業体が27年度の決算を連続で迎えるので、昨年末から来月末くらいまで、ずーっと決算対策をしています。

(もちろん期内の利益を事業用の投資として適正に処分しているということで、裏帳簿とかそういう話ではないですからね)

構造と力


先に、「まずは目指せ1000万円」について議論したい場合は先にこちらを御覧ください。この稿ではそういう議論は出てきません。フランス哲学について検討します。

構造と力―記号論を超えて
浅田 彰
勁草書房
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嘘です。この本は本文と関係ありません。

話は冒頭に戻りますが、決算対策と言っても、当然適正に経費として計上できるお金の使い方をします。僕にはいまいちまだ明確な言葉にできないのです非常に抽象的な文章になりますが、構造そのものにはどうやら力があるようだ、ということがわかってきたので、事業で得た利益は構造を作ることに使っています。

つまりこういうことです。通り一遍の営業活動を行っていれば、士業(行政書士を含む)というのは基本的に売上が上がってしまう業種だと思うので、「まず売上1000万円を目指そう!」というのはかなり初歩的な議論だということです。問題はどちらかというとその先の話になり、仕事はあるから売上は上がるが、それをどう処理して管理して、次の1000万円(5000万でも1億でもいいですけど)をどうやって10年継続させるのか、という点の方がはるかにフェタルな問題になります。いや、事業そのものがそうだと言えるかもしれません。

僕がこの稿で「構造」と言っているのはこの部分です。
例を挙げると、弊社のパートさんは「毎月この日はこれをする。毎週何曜日は何の日」みたいなものが結構ガチガチに決まっています。ゴミ出しとか掃除機がけとか、または既存客への案内発送とか、通帳の残高報告(!)とか、色々ですが、これ1つずつは構造の中でも大分シンプルなタスクの部分ですけれど、最上位の目的からここまでにかなりのステップを経て構造化された全体の一部なわけです。

最上位の目的を達成するために過程を細分化して、重層的な仕組みに落とし込んでいくわけですね。タスクの1つずつはそれほど重いものではありませんが、これらが相互に絡み合って、上位の目的につながっていくわけです。その目的、結果というはもちろん売上であり利益です(社会貢献とか街の法律家とか、そういうことじゃねえだろう諸君、そうは思わないか)。

そしてこの先がどうも言葉にしにくいのですが(哲学者じゃないから)、どうやらこの構造をビルドアップすると、それそのものに力が宿るようだ、ということが朧気に実感できるようになってきました。純粋に「外回りでお客さんから仕事をもらってくる」ということと、「事務所内で運営そのものを回す」ことには、上下や優劣はありませんが、どちらが結果(という名の売上)につながりやすいかというと、後者なのではないかと思うのです。

僕なんぞがこういうのも烏滸がましいですが、士業の世界の可笑しさに、肉弾戦以上に効率的な営業手法を知らない、というものがあると思っています。業界で名のある士業事務所がおしなべて肉弾戦主体という笑。

僕は肉弾戦が嫌いなわけじゃないですし、合理的で合目的的なら何だってやってやるつもりですが、肉弾って情熱とか体力とか、人間性とか、天気とか地域のしがらみとか、経営上の基礎を置くには脆弱に感じるものを根拠にしている場合が多いので、そういう意味であんまり使いたくないなあ、と思っています。それに比べて、構造を作っていく作業は基本的に理屈の世界ですし、「順をおって考えるとこうだよね、誰が考えてもね」ということを重ねていくことなので、誰にでも無理なくできることのように思います。そして、構造の一部になることは、思ったより遥かに快適です。

構造は知識や経験でも、ノウハウですらなく、ほぼ全部物理ですから、例えば以下の様なことだけで結構仕上がってしまうように思いますが。

  1. 机を並べて
  2. 電話とパソコンを配置し
  3. 書架を並べて
  4. 案件書類をファイリングし
  5. 必要な人材を雇用して役割を決め
  6. 営業の方法とタスクを分け
  7. カレンダー通りに決まったことをする

もちろんこんな馬鹿みたいな話がしたいわけではなく、この構造化の細目にこそ事務所経営のディテールが宿っていることは承知ですが、構造化の初歩ってこういうことではないかと思います。まとまりのない文章になりましたので、以後もっと思考の整理をしてまとめ直したいと思います。

行政書士は手続き業なので、構造化しやすいですよね(というか許認可って構造そのものだし、構造の思考ができない人は行政書士できないよね)。