. 行政書士組織論: 構造と力2(或いは11期目終了の振り返りについて)

2016/04/29

構造と力2(或いは11期目終了の振り返りについて)

お世話になっております。塩谷です。弊社の11期目が終了しましたが、約1年前、長江さんが以下の様な記事を書いておりました。

行政書士組織論: 行政書士法人10周年 / 11期目入りました

その後彼による当ブログの更新が一切ありませんが、どうしたことでしょう。これを共同執筆体制と言えるのかどうか、またはインターネット繋がってねえんじゃねえの、或いはもしかしてキーボード打てなくなったのかしら、など様々な憶測を呼びますが、単に筆不精なだけですので、近況などお知りになりたい方は直接メールなりFacebookで探して頂くなり、してください。

長江さんが筆無精であることは今に始まったことではないので、今後も改善の見込みは恐らくありませんが、それでも当ブログの主題である「行政書士事務所を組織的に運営することの理論と実践」は止むことがなく、11期目が終わっても継続していきます。

以下は以前塩谷が書いたものですが、構造にはそれそのものに力が宿るのではないか、という趣旨です。今回はこれの第2弾を、弊社の11期目の活動に合わせて検討してみたいと思います。

行政書士組織論: 構造と力


27年度の弊社の活動は、明らかに狙ってそこに注力した結果ですが、ほとんど1年間ずっと内部の整備に時間と予算を使いました。対外的な新機軸というか、新しい営業手法、ホームページ、新店舗、新業務への取り組みなどは、何もしていません。それで営業成績的なものはどうだったかというと、前年度比113%程度の純増なんですね(アンド過去最高売上アンド益、ピース)。

自分や長江さんを含めた、比較的年齢層の低め(業界平均において、という意味で)の同業者さんは、どちらかと言えば営業系が得意なイケイケの方が目につきやすいという傾向にあると思います。積極的に外に出て新しいものや新しいことを探してきて、これを業務に結びつけ、売上に繋げていく作業が得意な方々です。というか、これが出来ないとこの業界で独立性を保つことや、そもそも事務所を維持していくこと自体ができないので、第1前提として「仕事取ってくるのが得意」じゃないとスタートアップできない、ということだと思います。

(仕事を取ってこれないと行政書士でいられない、という意味ではありません。実務ができないと行政書士ではいられませんが、取ってこなくても処理する能力があれば行政書士でいられます)

営業系が得意な人々は、それにより一定程度の規模まで事務所を持っていくことはできると思います。んで、ここからが問題なのですが、「利益を全額広告費にブチ込む」などと言い始めるわけです。ブチ込んで更に売上を作ってガンガン行くぜ的な世界観だと思います。

--(以下余談)
僕が知る限り行政書士業界で最初にこの「全額広告費にブチ込む」という言葉を使ったのは金森重樹さんですが、氏の影響でこういう人、多いですよね。ですが、それは結局他人の言葉に影響されて自分でものを考えていないだけの何とかなので、その先の展望を結ぶことができないじゃないのかなと。金森さんは、そういう書き方をすると自分でものを考えない何とかに本が売れるからそう書いているだけであって、ブチ込む先ってたくさんあると思いますし、金森さん自身は色んなところにブチ込んでると思いますよ。
--(余談終了)

安定継続的に事業を続け、手堅い利益を積み重ねていくためには、この安定継続性の根拠になる業務処理体制、管理体制、人員配置、設備などが不可欠で、これらを維持するにはお金がかかりますが、弊社の11期目というのはここにお金を使い整備していく作業の(現段階での)仕上げの1年間でした。期中にやってしまいたかったことでいくつか出来なかったこともありますが、これらは来期への宿題になります。

AIという会社は、実はこの辺が弱い会社でした。これは自戒を込めたものですが、仕事を取ってきて売上を作ることが得意な人間が複数いるので、その点の心配はあまりないのですが、その点に力を回しすぎてその他のことが置きっぱなしになっている、という状況が何年も続いていました。事業規模は階段の踊場状態が少し続いていました。今になって思えば、その方法論で行ける規模の限界だったんですね。で、これはいかんから整備しようという作業だったのです。

構造の話に移りますが、先に挙げた安定継続性の根拠になる業務処理体制、管理体制、人員配置、設備などは、そのまま全て構造と言ってしまっていいと思います。この構造を磨いていくことで業務処理はスムーズになり、各スタッフへの負担も軽減しつつ売上は増えるという循環が生まれるのではないかという仮説の基に1年間やってみましたが、結果は冒頭の前年度比113%です。営業的にあまり無理せず普通にやって113だと、まあまあいいんじゃねえの、というところでしょうか。

つまり、営業のためだけでなく、維持管理のために予算を使っても売上は上がりますし、然るべきところに適正な予算を充てると、組織はこちらが笑ってしまうほどに綺麗に育ちます。笑いが止まらない構造マニュアルを執筆したい、いやしたくない。マジでしたくない。

社内の役割分担というか、単に得手不得手の問題だと思いますが、こういう構造化とか仕組みだとかは(社内の相対として)塩谷の得意分野ということになっており、俺は滅茶苦茶忙しかったんですけどね...。好きだからではなく必要だからやっていたのであって、本来は守備なんか面倒だと思っている流浪の狩人ですので、もうこの作業には飽きました。攻めようと思います。

来期以降の展望としては、今期作ってきた構造を更に磨く作業と並行して、積極的に営業することになると思います。会社全体としてどの程度の余力があるかも大体わかりましたし、この営業所はあと何%くらい上げられるとか、どのくらい売上として上積みできるとか、ざっくりですが見えているので、粛々とその作業をしていくことになると思います。