年度後半は複数営業所でフロントにいたスタッフが同時に退社することと、これに伴う引き継ぎ作業など発生しまして(ちなみに全部円満退社です)、まあ運営側にもこの辺のノウハウは溜まってるというか慣れてるので、神経使いますが決めるべきところを決めて関係各位になるべくネガティブな影響が出ないように、準備できたのではないでしょうか。
さて、前回のことを覚えている人なんかいるわけないんですが、俺も覚えてないんですけど、無理矢理思い出して続きを書いておきたいと思います。きっと自分自身が先々読み返して参考にするはずなので、オピニオンまとめというところです。
› 行政書士組織論: 入り口の多様化について
自分も資格業で身を立てているので、その立場から対策をするとすれば、まず自分を相対化せよ、ということかと思っています。相対化、客観視とも言えると思います
士業の仕事の入り口が多様化してきており、士業以外のサービス会社などがいわゆる元請けになる局面が増えているし、今後も更に増えてくるだろう、という見立てです。こういうことは市場環境の変化であって、誰が嫌だと言っても変えることなんてできないし、抵抗しようとすることに労力をかけるのは時間の無駄だと思っています。だから「大まかに流れはこうだ」という見立てのもとに、じゃあその中でサバイブするために自分はどうすべきか、という順番で物事を考えるようにしています。
この稿のまとめを先に書けば、資格者である、資格業をしている、事務所の代表である、資格試験のために努力したのである、過去にはこんな実績を持っているんである、など自分を取り巻く(自分の目から見れば)ポジティブな前提条件を取っ払って、相対的に市場の中での自分の価値を再定義することが肝要なのではないか、更に言えば、現在を自己否定してしまったほうが新しい局面には有効だと思う、という内容になります。毎度のことながら抽象的ですね、まるで僕自身のようです笑
局地的に、法務サービスの入り口(相談の窓口くらいの意味)が士業プロパーからサービス事業者の付帯項目に移っていっている、という市場環境を前提にしてみましょう。もちろんこれまでも、事業者の会計の悩み事を生保外交員が受けて、何かのついでに税理士に取り次ぐ、というようなことは日常的に行われてきていますが、これがもっとはっきり大きな規模で行われるようになってきている、というのが前回の上記記事です(士業はサービス事業者が囲い込みを行う際のツールになってきている)。
簡単に塩谷のスタンスを述べれば、大きな流れとしてそうなのであれば、じゃあサービス事業者が使いやすいツールとしての士業とはどういう形をしているのかを考えるほうが理に適っているんじゃないか、ということになります。このことは、資格者の主観で望ましい状況を想像しても答えが出ないので、自分(というか自分の事業を、ですね)を相対化して、その自分が求められている姿を外側から作り上げていくことになります。
当然主観的には望ましくない姿になっているかもしれません。サービス事業者のパシリになるということかもしれませんからね。だったら先生商売して代表者としてふんぞり返っている方が自己実現には近づくかもしれません(資格取るのも仕事取るのも散々苦労してここまで来たんや、偉くなったんや、的な)。
SWOT分析というものがあり、個別にGoogleで検索していただければ良いと思いますが、サービス事業者に対するストロングポイントは法令上の独占業務を完全に合法的に行えることですし、オポチュニティ(機会)は、サービス事業者が営業をかけるほどに継続的に定形案件が流れてくる、ということになります。弱点(ウィークポイント)は士業は金がねえ、ということですね笑
分析してみると、サービス事業者が元請けになる世界観は必ずしも士業にとって悪くないものに見えてきます。強みが持てているのであれば、単なる下請仕事にはならずそれなりに双方向的に意見を出しながらサービスを作っていく関係にもなれるでしょう。だったら相対化して分析して、アジャストするだけです。
昨今話題になることが多いような気がしますが、開業直後の若手が玉砕価格で市場を荒らしてる、という言説ですが、そういうのは市場全体における使いやすさ(サービス事業者から見たツールとしての使いやすさ)という意味で言えば、端的には使い捨てできるという部分だけなので、正しいアジャストの仕方とは言えないですよね(だからホント悪いこと言わないから玉砕価格辞めなはれ、先輩のアドバイスや)。
更に一歩踏み込んで、市場の要請にアジャストしていく過程で現状の何か(体制とか)が不整合になるとか、新しい未来が見えるとかであれば、現状を自己否定してしまえば良いと思うんですね。国内主要都市圏で安定継続的に軽度から重度の企業法務に関する手続きを大量に処理し続けること、というのが弊社AIの現状のスタンスですが、これは今の環境を眺め回して見るとそうすることが有益だからそうしているのであって、環境の変化に応じてぶっ壊してしまって差し支えないと思っています。
(塩谷がご同業の方からいただく質問ぶっちぎりナンバー1が「なんでAI入ったの?」ですが、そうすることが合理的だと思ったんで、当時のスタイルは完成していたんですが、自己否定した次第です、と毎回お答えしております)
自己否定は一時的には色んな意味でつらいですが、中長期的には合理的に働く場合が多いように思います。何より、完成したスタイルというのは反面代替が利かないという弱点があり、その根幹を否定すると新しい枠組みが出来上がって、自分自身も事業もスパイラルアップしていく場合が多いのではないかと。