. 行政書士組織論: 行政書士法人化とマーケットの行方について

2019/10/09

行政書士法人化とマーケットの行方について

お世話になっております、塩谷です。

数年来スタンディングデスクで立ちっぱなしで業務しておりましたが、事務所移転に伴いレイアウトの都合でスタンディングできなくなってしまい、この数ヶ月は通常の事務椅子に座ったまま仕事しておりました、だがやっぱりどうしても駄目だ、俺はとにかく立ちたいんだと一念発起しまして、わざわざオフィスのレイアウトを変更しインフラ屋さんを呼んでOAフロアを敷き直し、今週からスタンディング生活が再開しました。最高です、すっごい疲れるけど。

オフィスユースのスタンディングデスク、たくさん種類がありますが、どれも結構高額です。僕はIKEAのバーカウンターを買ってきてそのままデスクに使ってます。調子いいですよ、お試しあれ。


さて、今日の論旨をお書きする前にいつもの告知をいくつか。まず以下の本をカートに突っ込んでいただいて笑。



今度は名古屋でお話しさせていただきます。テーマは王道許認可をフックにしたチームビルディングについて。東海地方の方はぜひ。



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続いて論旨いきます、以下の稿のことでたまにご質問をいただくので、令和バージョンをアップデートしておきます。当時と比べて状況も少しずつ変わってきてますからね。体感でも、お会いしてお話する方には法人の方が増えているような気がします(統計はない、体感的に)。

行政書士組織論: 行政書士事務所を法人化して変わること

近い将来に行政書士法人も法改正で資格者1人で作れるようになるみたいです。弁護士や社労士と同じような制度設計になるのだと思います。支店設置ができることが法人化の大きなメリットの1つと言えると思いますが、1人法人は支店が作れません(営業所ごとに役員の資格者が必要だから)。じゃ意味ないのかというと、以下の点で十分メリットはあると思います。

先の記事にも書いていますが、与信上有利になるというメリットがあり、取引先が大きくなるほど個人事務所との取引を嫌がる傾向があるため、専門知識や実務能力には自信があるが個人事務所で信用力が弱いなどのウィークポイントをお持ちの場合には、この点のメリットは享受できるでしょう。

この与信上のメリットは年々増してきています。以前はそこまであからさまに言わない傾向がありましたが、近年は取引先からはっきり言われるようになってきましたね。謄本とNDAセットでくれ、みたいな。資格法人という制度そのものが、資格業だけでなく一般企業(の総務部)にも浸透してきているということだと思います。んで、行政書士さんならご存知のとおり、こういう傾向は強まることはあっても緩まないのです(コンプラ対応とかと同じです)。

取扱業務や営業エリアなどにもよりますが、BtoBを都市圏で行っていく場合には、法人化は避けられなくなっていくものと思います。資格法人制度そのものの是非などとは切り離して、相手が求めているのはそういうもの、という割り切りをします。

一歩進んで、他にこういう記事も書いています。

行政書士組織論: 大型化への予想

行政書士業界全体の生産高は、相対的に個人事務所から法人事務所にパーセンテージが移行していきます。すっごく雑に言えば個人事務所の売上を法人事務所が食っていく構造になります。法人は構造上、大型化していくんです(法人になれば大きくなるという意味ではない、念のため。売上が立たなかったらもちろん潰れる)。

それで、資格法人そのものの使い勝手の悪さが分かってくると思います。資格法人は合名会社をモデルに作られており持分会社なので、まあ後は各自お調べいただくとして、厳密な意味で資本の原理が働かない上に無限責任であるという(言っちゃあ悪いが)かなりしょっぱい制度です。

つまり人の要素が強すぎるんです。資格を持っていることを前提に、人の要素を強めるため合名会社をモデルにして制度設計したのだと思いますが、令和の時代に合名会社って...と思います、僕は。これから法人化しようという人、過去に組織運営で良くない経験をした人と話すと、問題がこの人の要素に集約されてくる場合が多いですね。

んでこの思想を更に進めていくと、人の要素を減らして資本の要素を上げていく方向になり、非資格者の出資(持分会社なので当然役員にもなる)を可能にする法改正が待たれる、と僕はかねがね考えています。その先にあるのは、資本でぶん殴られる資格者ですね...。資本がこの業界に入ってきて僕が生き残れるか知りませんが、資格法人制度自体は過渡期という見立てなので、そうなるべきなんじゃないかと思っています。

以下のような話もありました。黒田さん引用させていただきます。



現在では士業の独占業務というものが法定されていて、それこそ上場企業はコンプラ徹底なので、絶対に独占業務には手を出しません。が、実は独占業務の周辺には合法的に一般企業が扱える業務が存在していて、これはサービスとして合理化できるんじゃないか、という話もあります。その上段に、民間企業による資格法人への出資という未来が別立てで用意されているのではないかという。

士業は手間仕事では将来食えないってことだと思います。もちろん、僕は全然悲観してませんし、資格業で(最悪自分と女房子供くらいは)食えるとも思っていますが、手間オリエンテッドだった士業の歴史を鑑みるに、マーケットは個人事務所から法人事務所へ、そしてごそーっと民間資本へ流れていくのかなと思っています。

(脅してるわけじゃないです、実際freeeやMFクラウドなど使ってみると分かりますが、税理士事務所が担ってきた記帳経理という手間仕事はもう業務として消滅すると思います。で、税理士は税その他ファイナンスのスキルを上げていく必要に迫られています)