お疲れさまです、塩谷です。コロナが終わったいう言葉には、インターネット買ってきたみたいな馬鹿っぽいニュアンスが含まれているように思いますが、それを分かった上で諧謔として堂々とコロナが終わったと言いまくる取引先の部長さんなど、愛おしいですね。あの力強さが日本企業のボトムを支えているとさえ思うよね。
思いっきり老害コメントをしますが、やはり本を読まない奴は駄目だ、何でもいいからとにかく大量に本を読め、以下から選ぶ必要はないのだが、ちなみに俺は最近こういうものを読んだ。そして今更ながら読書端末のKindleの一番安いやつを買ったのだが、激しく後悔した。買ったことでなくて今まで買わなかったことを。
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さて、改正行政書士法が施行され1人法人が設立できるようになった訳ですが、士業界の輝ける業界紙、FIVE STAR MAGAZINEさんのまとめによると改正法施行の2021年6月からの1ヶ月で25件の法人が設立されたそうです、メルマガに書いてあった(ちゃんと編集部あて引用の許可をいただいています)。
その後2021年10月中旬まで設立された行法は、全てが1人法人でないのは当然として、4ヶ月ほどで90件くらいのようだ。FIVE STAR MAGAZINEさんがいうように激増と言っていいと思う。ところで、このブログを読まれるような方にはこのマガジンはきっとフィットすると思うので絶対読んだ方がいい、蒙が啓かれ事務所の売上が800倍くらいになるはず、L&M社に幸あれ。
行政書士事務所の法人化の是非、マターなどについては前回まで散々検討しましたので、もうしません。大体これまでの検討の中に起こるべきマターのほとんどが内包されているものと思われ、その殆どの部分をクリアできる1人法人という制度はそれなりに使い勝手は良さそうだと思います。僕は以下のようなことをすると様々な事業展開がありそうだと思っているが(弊社でやるかどうかは別として)、やっている人は今のところあまり聞いたことないが、必然的にどなたか行動に起こされることと思います。半分は思考実験だがかなり蓋然的でしょう。
つまりグループ内に1人法人を複数持って上位組織として株式会社等を起き、株式会社と1人行法らの関係は資本関係に基づかない逆方向の疑似ホールディングスということなのだが、ありだと思うよね。旧法でこれをしようとすると社員資格者が常時最低4名必要になり大変なので、想像されてはいたが実際やるには面倒過ぎた。だが1人法人が可能な現在の世界では実現可能性は一気に上がったと思われます。
このことにどういう意味があるか思いつくまま列記してみるが、まず絶対にリスク分散、その他として規模の分散、ブランド多角化などだろうか。リスク分散は一番大きな問題で、今後は行法の支店を設置する際に「プロパーの支店なのか」「グループ内別法人の現地事務所なのか」は検討の余地ありなんじゃねえの。真面目に仕事していても業務リスクというものはゼロにできなくて、やらかしも当然一定の可能性があるんで、それで会社全部燃えるより延焼しない構造を持っておくのは合理的ではないか、事業者としてクライアントのためにも検討して無駄ではないと思うが。また、実際に一定規模からの行法にはどこにもスタークラスの番頭さんがいますからね、所長代行じゃなくて支社長のほうが相応しい人。
同時に規模の分散も実現できるのだが、本質的にスモールビジネスである行政書士事業が少しずつ大きくなっていって、年売り5000万くらいのときが一番キツいと思うんですよね。この業界の人は勤勉で真面目な方が多いので、そのキツさをその規模感のマネジメントやオペレーション、またはリーダーシップなど定量化しにくい要因に求めてドツボに嵌っているケースを見る気がするのだが、単純に標準課税になるからじゃねえの、と僕は思うんですね。
士業のような人件費率が高い(つうか人件費と家賃しかかかんない)事業で簡易課税から標準課税になったらキツいに決まってるんで、それマネジメントの問題じゃなくて消費税納めて金足りなくなってるだけですよ、という。消費税払った上マネジメントの問題を解消しようとサイボウズ入れてもっと金足りないというね。事実その辺の事業規模で踊り場をぐるぐる回り続けている同業者をよく見る、聞く。中途半端に年売り6000くらいになってしまうより、マイクロ法人×2で規模を分散しておくほうが合理的である可能性は結構あると思う、特に行政書士業事業の場合。
マイクロ法人といえど法人を1つ持っておくだけで発生する最低限のコスト(基礎代謝みたいなものか)があり、私のざっくりした手掴みの感触でいうと50万/年なのね。イニシャルで書士会の登録費用が30万?くらいかかると思うので、初年度の基礎代謝はなんだかんだ100万でしょう、100万を管理コストと割り切れるメリットが出てくるのはやはり大体5000万/年くらいの事業規模ではないだろうか。つまり消費税差益が100以上になる規模という意味だが。
ブランド多角化というのは、例えば低価格路線と高価格路線とかの話ですね。1つの法人でアンビバレントな2つの特徴をアピールするのはどうしても限界があり、エルメスとバレンシアガは同じ売場で売れないんだけど、法人が分かれていれば十分可能性はある。具体例は許認可のA法人と相続のB法人を1つのオーナーシップの中で行うということですね。税理士業界にはありますよね、中小企業会計と相続税申告でブランド(法人)分けてるところ。
今回の改正法が予定している使い方かどうか別として、こういう使い方はあり得ると思いますし、あるんだという前提でいると色々夢が広がりますね。M&Aに上記のスキームを噛ませて安全に引き継ぐってこともできるでしょうし。