. 行政書士組織論: 3年後の世界

2023/02/21

3年後の世界

2020年の年初は日本にコロナが直撃していましたよね。ちょうど3年前の話ですが、正直言いまして会社潰れると思いました。これまで行政書士事務所をやっていてマジ潰れると思ったのは東日本大震災、コロナの2回ですが、後者の方が自分以外に与える影響が大きくなっていたのでマジで震えました。

日に日に世相が悪くなり、バッドニュースが連発され、経済が終わっていくのを眺めているあの感じは、極小ながら事業を持っている身としては本当に勘弁してほしい、思い出したくない時間ですが、やはりあの時期に何をしていたのかが3年後の今に繋がっているように思います。

卑近な例で恐縮ですが弊社で起きた事例として、私はこの3年でこういうことをしました。つまり、コロナ騒動が起こった直後みたいに世情が荒れているとき、政府は経済的な混乱を抑えるために市場に金を出します。コロナの日本だけじゃなく古今東西のあらゆる政府が同じことをします。それで、弊社も金を受け取ることができました。各種の事業者向け補助金や助成金、公庫による無利子貸付などで手元にキャッシュがババっと入ってきたんです。

また、経済活動が停滞したことで弊社売上は一時的に少し下がったが、数カ月後には実はコロナ前より伸びたんですね。これも世情が荒れていることの影響だが、荒れると士業は儲かります。おそらく行政が民間をサポートするために平時より門戸を開き、士業はこのアクセスの仲介役になるからだと思う(例えば補助金事前審査とか申請代行などね、弊社はどっちも1件もやってないけど)。

それで2021年1月頃にはむしろ金融機関の借入を含めた手持ちキャッシュは過去最高になっていました。世情が荒れて先が読めないときには、とにかく手持ちキャッシュを最大化するのがセオリーです。金の出処はどこだっていいんです、とにかく手元に金を吸い込むんですね。その頃には世間に少しずつ経済を立て直す雰囲気が出始めており、じゃあこの手元にあるお金をどうしようかというタイミングで、私はこの金で税理士をメンバーに入れて税務会計をスタートしようと考えました。

2021年は人探しや各種の調整仕込みして、2022年1月から正式にサービスイン、現在はサービス開始してちょうど1年経ったところですが、昨年9月(サービスインして9ヶ月)くらいでこの部門は単月黒字化しました(通年では笑うほど大赤字ですけど)。税理士をメンバーに入れ税務会計部門を立ち上げるのに金がかかるのはご想像いただけると思いますが、ガツンと先行投資できるくらいのまとまったキャッシュがあるタイミングじゃないとできないんで、もしかしたら私の職業人生で最後のチャンスだったかも。ほんとやって良かった。

同じ時間軸でお友達の同業者さんたちがいうことには、まとまったキャッシュをもって他社サイトのM&Aしたり、地方から東京に進出してガンガン営業したり(経験上新たな営業手法として「支店開設」とか「物理戦線を拡げる」が一番目に見えた効果が出やすく、失敗するリスクが高く、めちゃくちゃ金がかかり、結構失敗します笑)、一気にスタッフさん3倍に増員したりしているそうです。私もサイトのM&Aしたいしスタッフ3倍増したいですが、上記の新事業に金を突っ込んでしまったので、そこまでの余裕は残っていません。できることは限られており、選択と集中ってやつですよね...私はクライアントのバックオフィスを巻き取るという方向を選択して投下したと思っています。

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余談ですがよくある議論で、私は資格ビジネスのお客様にコンサルっていうのを全くしないで、基本は手続きオリエンテッド、タイムチャージ換算で事業を構築しているし、まず手続きで収支が合うかどうかを考えます。その先にコンサルを〜という命題が見えてもいいと思うんですが、今までしていないし恐らく今後もしないんですね。

コンサル業務を軽んじているとかダセえとかいうことじゃなく、俺には手続き業の呪いがかかっていて、開業時に参照した先輩たちが北海道や神戸の某事務所さんたちだったため、そのように天啓を受け呪われたと思います。だから開業時の刷り込みですよね、弊社の場合はその先にバックオフィス業務があった感じです。

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こうして手持ちキャッシュを投下してスタートした税務会計はサービス開始して約1年ですが、年商の理論値で数千万まで育ちました。税理士1名+若いスタッフ1名でこの数字なので今のところグッドだと思います。これは私が新しいサービスを始めるときに毎回使う手法ですが、基礎的な見込み客リストは既存取引先があるので、この見込み客リストに対してBtoBのマンパワーを使った何らかのサービス(許認可管理とか税務とか労務とか、保険とか、HRとか、技能実習生とか、なんでもいいです)を提案し、提供していく、アップセルしていくことかと。

新たなコストはほとんど人件費だけで、オフィスの賃料やインフラコストなどは全部既存のものを使い回せるので、人のお金を回収できるようになればもう黒字です。私は多分このやり方以外はできないですね、一番自分に会ってるしリスクが低い、殆どない。

若干話が逸れましたが、3年前のあの時点で準備し仕込み始めたことが現在開花していますし、コロナのときに限らず一定周期で仕込み〜開花のサイクルを繰り返しています。コロナ時期は世情が荒れてキャッシュが市場にじゃぶじゃぶ出ていたから、とりあえず手元に吸えるだけ吸い込んで、これを元手にしてちょっと強めの手を打てたから成果もよりはっきりと出ている、といったところかと。