お疲れ様です、塩谷です。
まず最近の読了本サンプル何冊かいってみましょう。
› 日本語・琉球諸語による歴史比較言語学
› 組版造形タイポグラフィ名作精選
› ラディカルな意志のスタイルズ
› パンクの系譜学
全然読む時間がないのですね、本を読む時間が減っていくと自分がどんどん馬鹿になっていくのを感じる。パンクの系譜学は面白い本でした。パンクといえばアナキズムを連想しやすいと思うが、むしろダダイズムが根底にありますよね。それがテキスト化されたのが良いと思う。
さて、ここ1年くらいでも、行政書士事務所を法人化すべきかという相談とも質問とも言えるコメントをいただきましたが、以前以下のようにまとめているので宜しければご参照のほど。現状でも当時と状況はさほど変わっていないと私は思います。
年間売上3,000万円くらいになり、その後も事業規模を上げようとする場合には検討事項に入るんじゃないの、という感じです。んで、1年完走して3,000じゃなくてもいいのね、そのくらいの時期は月次で様々な変化が起こるので、先月180で今月235だ、来月はもっと行くか的な状態になってきたら事業体としては均して年3,000なんで、月250内外になったらそこを始点として12ヶ月走ったら、で換算すると良いかと思います。
1年走って3,000まで結果を待つと機を失するからですね。過去実績ではなく現在の健康状態でご判断なされるのが良いかと。ドバっと来たときに対応できない。
今回のテーマは、以前ツイッターにちょびっと投稿した件である「行政書士のマーケットは我々の想定よりもっと大きいのではないか?」仮説をもう少し検討してみます。この稿の結論として、統計上大体500億円くらいといわれる行政書士の市場規模は、実際には2,500億円くらいあるんじゃないかと私は近年考えており、以下その論拠。
ツイッターの投稿は構築的でレヴィ・ストロース風だが同じじゃつまんないので、あえてダダイズム的脱構築や破壊、攻撃を施してみる。俺ダダイストだから
行政書士の市場規模は年間500億円くらいと統計上言われていて、参照元や年次により多少増減するが大体数字としてはそんなもんですね。誰がどうやって調べるのか分からんが、おそらくこの統計上の数字が私たちの認識を誤らせ、狭い範囲に閉じ込めているのではないか。
500億という数字はほぼ間違いなくエラー値です。恐らく私の知人友人である同業者さん達を上から順番に並べていくと途中で年間売上100億までは合計できてしまうので、私の知人だけでマーケットの1/5を独占しているはずはないでしょう(だって俺そんなに業界に友人いないし)。エラーなのを前提として、では実数はどのくらいかというと、すげえ適当に800〜1,000億くらいか?と思います。これは「現在の行政書士事務所さんの年間売上の合計」ね、単純な足し算としての。
細かい計算は勘弁してほしいが、100万人都市における行政書士事務所全体の売上は8〜10億円くらいだと思うよ。人口1万人あたり800万円〜1,000万くらいの計算になるが、大体合ってると思う、保証はしない。開業しているオフィスの近隣地域、経済圏の人口から理論上の年商を計算してみるのも一興か。原則的に地域に縛られる我々の事業は、要はこの数字をエリア内の同業者で陣取りゲームしてる感じだ。
8×120≒1,000だから大体そんなもんだべ、細かい検証はしていないが、色んなエリアに顔出して皆様から事務所のことを教えていただいた感覚値として概ね違わないと思う。だから、行政書士さんが受注している案件の報酬合計は大体800〜1,000億くらい、統計で出ている500億の倍まで行くか行かないかくらい。
総和として統計より実は皆稼いでるってことですよ、だから自己認識を広げて、自分はこんなもんだと思わず倍は行けるとセルフイメージを再構成すると良いと思うんですね。全体が500だと捉えるより1,000だと捉える方が、なんつうか自由でしょう。よくあるブレーキの1つに来月は新しい依頼が来ないんじゃないか妄想があるが、それは行政書士事業をとても大きく阻害しますね。いや、来るんだよ、来るって前提で諸々の計画を立てることが好循環をつくります。
行政書士事務所くらいの事業規模であれば、他の事業と比べて外部環境によるブレーキは少なく、殆どは心理的な要因でブレーキがかかると思う。いみじくも某先輩がおっしゃっていたが、売上をつくるのは度胸だそうです、聞いてた人間全員軽く脳震盪起こしてた笑
それで、上記のような前提を受けてまた他の某先輩がコメントされていたこととして、我々が本来リーチすべき対象に対して認知が低すぎて依頼が来てないんや、とのことでした。相続とか許認可取得を行政書士に相談できるの?というレベル感の話ではなく、当然「行政書士は身近な街の法律家」妄想でもなく、例えばなにかの手続きを10,000件規模で外注できるアウトソーサーとして我々が経済界、事業者から認識されていないっていう。
一面その通りの部分もあり、上記の統計上500だが実数は1,000の世界観に立つと、皆全体を本来の半分くらいと認識しているのだから半分の用意しかしないですよね。本当は業界では1,000のキャパシティで依頼を受けているのに、共通認識として500なのであれば、1,000やってます、やれますとは言わないべ。結果経済界へのリーチが実数より及び腰になるという。
ここまでは単純に「〜であれば」の前提に立つ仮説なんだけど、実際営業していると毎度なんじゃこりゃみたいな規模の案件のご相談を受け、実際に依頼していただき処理し、ああ終わったと思うとまた見たこともないサイズの案件のお見積をし....ということが日常的に起こるので、演繹的ではなく帰納的にそう捉えるに至っている次第です。だから某先輩のコメントは言われるとすんなり受け入れられる感じというか。
んで私が感じていることとしては、このことに気付いている奴が近年多くなっているんですね。あれもっと行けるんじゃね、私たちの住んでる世界は実はもっと広かったのでは?という。売上1億円の行政書士事務所というと、感覚的に10年前であればビッグスケール的な感じがあったと思いますが、今や結構偏在しているよね、そこら中にいるんで別に珍しくもない状況で、10年前なら行政書士事務所全体の0.1%とか言われていたが、今は全然割合上がってると思う。報酬単価が一気に上がったとかインフレしたとか、10年前になかったマーケットが突如現れたとかじゃないでしょ、やってることは10年前と一緒、変わったのは意識や。
ここまでは行政書士業界マーケットの現状に関する検討ね。以後は想像できる可能性はどのくらいという検討です。
私たち以外にも行政書士のマーケットを見ている人たちがいて、士業ですらないテック系の民間事業者さんたちです。彼らは(もちろん全部ではないが一部の事業者の思考として)企業や市井の人々が抱えているお悩み、面倒くささ、不合理さを解消することをサービスとして提供し、これを合理化して事業化する〜という活動をしていて、「ここ合理化できるんじゃね?」という領域を常に探しているんだけど、思考経路としてはあれですよね、儲かるんじゃね、じゃなくてお悩み解決できるんじゃね、から始まり結果として事業化できる=儲かるに繋がる感じですね、とても健全ですよね
これらサービスは近年はテクノロジーと結びつく場合が多いと思うんだけど(合理化の幅が大きいからだと思うけど)、だからAIやDXのワードになってサービス化されるんですよね。それで、実は前段の命題って士業の存在意義そのもののようにも見えるよね。だから実際こういったサービスの一部はギリ士業ワークかどうか、もしかして民間事業者が行うには士業法違反じゃないか、というラインに近づいてくることが結構よくある。または本業サービスの周辺を事業化しようとすると士業法に抵触しかねないとか。
だから特にテック系の事業者さんは士業マーケットをよく見てるんですよ。ここに合理化可能なサービス領域が広大に残ってて、皆困っているのになぜ士業はここをやらないのかと。やってんのかもしれないけどニーズは満たされていないぞと。
すごく概算ですが、私の専門分野と言えると思うが、建設業者さんが許認可管理や経審とかの行政手続きを行政書士に依頼している割合は、大体50%くらいじゃないかと考えています。事業者自身で行う場合が半分、行政書士に依頼する分が半分です。
建設系の許認可は歴史が結構長いので、行政書士の分野としては事業者に対するリーチが他業務より高めでしょう、認知は高いですね。高めでも半分くらいなので、行政書士の業務分野全体でいうと、仮置きで普及率33%くらいなんじゃないかと思うんですね。
この稿の流れで、某先輩が仰ってた「俺ら事業者から認知が低くて依頼になってないんだぜ」の話、テック企業が「あなたたち市場のニーズにリーチできてないですよ」の話、関与率33%を除いた得べかりし依頼であった67%、そんで現状の実質事業規模と思われる800〜1,000億、これらを重ね合わせると行政書士には実は2,500億くらいの市場があるんじゃないかって話。
統計が500億なのにいきなり2,500億あるとか何とか埋蔵金かよと言われそうですが、もちろん単に仮説だから保証なんかしないんだが、おそらくあながち間違っていないと思う。またも帰納的に、事業者のうちエリアのメインプレーヤーやその周辺の意思決定層と会話させていただいているとむしろそう考えざるを得ない。それは純粋な行政書士業務なのか?と言われれば若干微妙かもしれないものも含むが、事業者(やそこに所属する市井の人々)は出したいのだ、いろんなものを。だが、我々がそれをやれるとそもそも考えていないから、事業者も出すという発想になっていない。認知が低いっていうのはそういう意味かと思われる
抽象的でしょうか。具体的にいえば、弊社では入札参加資格の申請と年間管理をたくさん承っているが、500件とか800件なんてのはザラな部類で、こういうロットを持つ企業さんはそこら中に大量にいるのだが、自社内でやってきたんですよ。アウトソーシング可能だと思われていなかった。ヒーヒー言いながら受注しているのですが、こういうものは恐らくまだまだ事業者の中に死蔵されていると思う。
一例です。文中に気付いている奴の話が出ましたが、同じだと思います。もっと広いフィールドがある、或いはサービスとして合理化できるってことを実行している方々がいて、私たちはそちらに進んでいくのだと思う。