. 行政書士組織論: 2025

2025/01/08

ステータス変更の要諦

お疲れ様です、塩谷です。昨年末で行政書士登録から18年経過し、現在19年目に突入してしまいました。 感慨は、やはり特にありませんね....

行政書士事務所の業容拡大について、適した方法としてステータスを変更するという作業があると思うのでまとめておきたいと思います。ツイッターにちょびっと書いたことをベースにしています。ステータス=属性という意味で考えてもらえれば良いかもしれません。

一口に行政書士といっても様々な属性を持ちながらその職業をしているので、100人の行政書士としての共通項はほぼ「行政書士である」くらいしかないと思われますが、だから5万人の登録者を総論的に検討してもほぼ意味はなく、属性を付与した上で検討するのが良いんじゃないかと思いますね。

例えば、私の友人は行政書士法人を経営しつつ不動産賃貸業を行っていて、不動産賃貸業の収支が高位安定しているらしいので、当然行政書士の方ではあまり突っ込んだリスクを取る必要がなく、ほぼ行政書士業1本の私とはすべきこと、合理性判断なんかは全然変わるんですね。

だからみんな不動産賃貸やろう!という意味ではもちろんない。属性を上方に変更すると業容は拡大する場合が多いです、という論旨です。

例示として、よくある「個人事業の方が良いか、行政書士法人を設立すべきか」という命題で検討したいと思います。行政書士法人のことは過去様々検討しているので、ご参考に以下などご参照いただければと思います。


納税額や会費などの単純な経済合理性、巷間よく言及される銀行口座が開設しやすい、社会的な信用が高まるなどの定性的な部分はもう検討しないですよ。その話はもう終わったということで。

行政書士法人の数が大体1,500くらい、個人登録が53,000人弱なので法人は大まかに全体の3%弱くらいみたいです。 


つまり行政書士は殆どが個人開業で、そこだけ単純に切り取ると属性、ステータスは「個人開業の行政書士」になります。この状態から行政書士法人を設立し自分が代表者になれば「行政書士法人の代表者」に属性が変わります。

行政書士法人の代表者が偉いとかすごいとか全然思っていませんが、希少性では3/100なので、明らかにレア属性になるんですね。属性が変わった瞬間は中身の人、業務熟練度などは変わってないので、ただ表面変えただけやんけと言えば全くその通りなのですが、属性は上方に変更されています。自分がどう思うかはともかく社会はそれに価値を感じてくれます。希少性なのか雰囲気なのか、なんとなくなのか理由は分かりませんが、イケてるっぽく見える感じでしょうか。

(実質的な中身が変わらなければ法人化しても同じだ、という理屈は私は違うと思います。問合せしてくださった理由を聞くと「法人だったから」は結構上位に入るっすよ。問合せから商談して中身の勝負に入りますが、そもそもそうでなければステージに立てていないので)

だから、業容拡大したいとか事業として行政書士事務所を成立させたいと考えた場合、法人化するというのは検討事項ではなく必須事項に近いです。事業性というのは上限を決めて行うものではない、消費税課税業者とか簡易課税とか登録費用の負担とか、そういう問題じゃないと思わない?遍く自分のサービスを提供したいと思うならば、できるところまでやるもんなんじゃないのか。

行政書士法人を運営するための必須のコストはイニシャル30万円くらい、ランニング年間50万くらいです。そのくらいの金額で属性変更できるのはコスパいいんじゃないかと思いますが。法人化しただけで単純に業務量が増え売上が上がることはありませんが、ただ色んな面で競争には勝ちやすくなるでしょう。

もう1こ例示行ってみましょうか、思いっきり嫌われる可能性もある話ですが。
オフィスの移転は事業性にかなり大きなインパクトがありお勧めです。各都道府県に何とか支部みたいなところがあると思いますが、事業性を重視するなら、所属される単位会のうち所属する行政書士数が一番多いところにオフィスを持つのが最も良い、ということになります。

理由は単純で、所属数が多いということは支部圏内の人口が一番多いはずで、行政書士業務は人の営みの中からしか生まれ得ないので、近隣で発生する業務量が一番多いからです。もちろん負担できるコストとの兼ね合いはあるが、その兼ね合いの中で一番人口が多いところということになるでしょうか。これでも属性は変わることになり、人口の少ないA支部の行政書士から、人口のより多いB支部の会員に変わることで属性としては上昇している。

この人口理論を進めていくと、各支部の話が近隣経済圏における中心の話に移行し、そのまま首都圏の話に移行する。詳しくは下記ご参照。だから大手と呼ばれる事務所には東京オフィスがあるし、なかったとしても東京に支店出したいという願望を持つことになり、非常に健全なことだと思う。


属性については上記の他にも様々切り口があると思います。例えば社労士資格も持ってるとか、大きな事務所の支店長であるとか、手元キャッシュが(借り入れでもいいんだけど)1億あるとか。企業が決算で黒字化させたいのはこのためですよね、収益性の高い事業を行っている=上位属性の企業として評価されるためです。属性が高いほうが選択肢や可能性が広がるので。

属性、ステータスを上げていくということは、個人の能力でできることにそれほど大きな差はなかったとしても、細かな知識を身につける以上にインパクトの大きいポジティブなメリットがあると私は思います。

行政書士個人の職業人としての能力を上げていくのは当然として、私たちって基本的に根が真面目でコツコツ型のタイプの方が多いと思うので、こういった属性とかの話に無頓着なケースが多いように思うんですね。ただ、職業人としての能力向上とか個別案件の積み重ねの直線上にキャリアを変えるような大きなステップアップってないと私は思うので、ステータスや属性を上げていって求められるものの難易度を上げ、クリアし、10段階くらい一気に成長する方が色々早いんじゃないかと思いまして。